安全な低温調理に必要な加熱時間は、加熱温度、食材の厚み、付着しているリスク要因によって変化します。それに細かく対応した鶏肉の最低加熱時間を156パターン算出しました。
前回の記事(鶏肉の安全な低温調理に必要な温度・時間一覧)と選択的に使えるもう1つの加熱表です。なお、”加熱時間 = 湯煎開始→湯煎終了までの時間”です。
スポンサーリンク算出ロジックおよび、補足事項は前回の記事(以下リンク先参照)と同様なので省略します。補足事項は超重要なので必ず読んでおいてください。
安全な低温調理に必要な加熱時間は、加熱温度、食材の厚み、付着しているリスク要因によって変化します... 鶏肉の安全な低温調理に必要な温度・時間 - Theory is the best sauce. |
加熱時間 = 保持時間\(T_1\) + 到達時間\(T_2\) という計算式において、保持時間\(T_1\)を計算する際に使ったベンチマークをリステリア・モノサイトゲネスに変更しただけです。
前回の記事では耐熱性の高いサルモネラが鶏肉に付着しているという想定(結構厳しい想定)のもとで必要な加熱時間を算出しましたが、この想定が現実的でないと考える人もいるでしょう。サルモネラ一族の誰かしらは高確率で鶏肉に付着していますが([1])、耐熱性の高いサルモネラが鶏肉に高確率で付着していることを示唆するデータは今のところないからです。
そのため、想定を少しだけ緩めて、
“高耐熱性のサルモネラではなく、その次に耐熱性があって高確率(30%くらい[1])で鶏肉に付着しているリステリア・モノサイトゲネスをベンチマークに殺菌を考えたい”
という考えも有り得るだろうと思い、これを作りました。
なお、今回の記事よりもさらに想定を緩めて、リステリア・モノサイトゲネスすら鶏肉に付着していない(あるいは、付着しているがそのリスクを無視する)と想定することはお勧めしません。日本では発症例の少ないリステリア症ですが、発症時の致死率が高く、アメリカでは500人/年の死者数と推定されています([2])。無視するにはあまりに大きなリスク要因です。
どちらか好きな方を使ってください。上述の通り、
高耐熱性のサルモネラが鶏肉に付着していると想定→前回の値一覧を使う
高耐熱性のサルモネラが鶏肉に付着していないと想定→今回の値一覧を使う
ちなみに私は「高耐熱性のサルモネラが鶏肉に付着している」方を想定して調理しています。お住いの国・地域によっても鶏肉に付着しているリスク要因は違うと思いますので、それぞれの地域の実情にあった加熱方法を賢く選んでください。
[1]危害要因の性質等について(食中毒・汚染率等)
[2]リステリア症について考えてみよう. 神奈川衛生研究所
Nick が真空調理で使っている道具たちを一部紹介しておきます。
個人的にはこれ一択。そのうち記事で書きますが、Wi-Fi が圧倒的に便利。外出先にいながら火入れのコントロールが可能。加熱を複数温度に分けて行うなどの場合、外出先から出来ないと不便過ぎる。
最適な加熱条件が分かっているなら、帰宅が遅れた場合に出先から加熱温度を下げて火入れの進行を遅らせる技も使える。
あとは、温度コントロールが命の商品なので、実績あるAnovaが一番安心できるという側面も。安物買って気づかないうちに温度センサー壊れてた→食中毒…とかシャレにならない…。
ワタナベ工業ポリ袋がいいと思います。ジップロックと比較して1枚あたり50%以上のコストダウンが図れます。野菜500gだって余裕で入る。
ただ、ワタナベ工業ポリ袋にはジッパーがないので、密閉時にはクリップイットを。ポリ袋をクリップイットで留めるだけで簡単に密閉できます。袋の真ん中らへんなど、好きな位置で止められるので便利です。
また、クリップイットは-20~140度の温度耐性があり、湯煎にかけたり冷凍庫に放り込んだりしても2年以上1つも壊れていません。かなり丈夫です。
Nick はワタナベ工業ポリ袋 & クリップイットのコンビに非常に広い応用路を見出しており、真空調理 / 通常調理問わず、使わない日はまずありません。(追って記事書きます。)迷ったら買うべし。後悔させない自信ある。