ふわふわな赤身と柔らかくなった弾力ある筋のコンビ、一度食べたら病みつき確定。究極のローストポークのレシピです(チャーシュー風味付けですが笑)。豚肉の53.3度加熱の安全性についてもカバー。

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リスクコントロール

Nick のブログのレギュラーユーザーなら、以下の内容はお手のものでしょうが、そうでない人にとっては非自明なので、豚肉のリスク要因について、念のため復習しておきます。参考文献は、リンク先の記事に譲ります。

豚肉のリスク要因リスト

豚肉に潜在するリスク要因は以下の15種類になります。(日本国内においてはトリヒナは無視してよい。)クリックで個別の解説ページに飛べます。

リスク要因たちの死滅条件

以下の記事にあります。芽胞性細菌の芽胞は無視すること、寄生虫は53度などの温度でも”やがて”死滅するという姿勢で以下のレシピを書いています。未読であれば以下記事を確認しておいてください。

さて、豚肉のリスク要因で一番厄介なのはE型肝炎ウイルス(HEV)です。HEVについては死滅条件の精緻なデータが現状ないため、低温調理のリスクがあるかないかの判断は各自に委ねられます。

HEVのリスクへの対処姿勢も上の記事で書いているので、必ず確認してください。リスク評価をせずに美味しいところだけ頂こうとすると足元すくわれるかもよ…? 以下の記事はHEVの重要データ集です。

殺菌に必要な加熱時間

このブログでは細菌を初期量から7桁減らす、つまり細菌量を1千万分の1まで減らす加熱条件(7D-reduction)を推奨しています。(寄生虫については、もちろん全滅させる。)

上にリンクを貼った豚肉のリスク要因の死滅条件一覧を見るとわかりますが、リステリア・モノサイトゲネスが最も熱耐性が高い細菌なので、こいつを初期量から7桁減らすことを目指します。

今回のレシピにおいては53.3度48時間加熱するので懸案の細菌群の殺菌条件としては十分です。たとえば、60mm厚以下の場合、リステリア・モノサイトゲネスの殺菌レベルの理論値は約27D-reduction(!)で、かなりのオーバーキルとわかります。

なお、低温調理におけるリスク管理のフレームを理解していない人は以下の記事を読んで吸収してください。一度理解すれば他人のレシピの安全性を定量的に評価できるようになり、そのレシピの安全性をテストするためのマウスにされるリスクを排除できます。

レシピ

豚肩ロースの53.3度48時間低温調理チャーシュー

Category

53.3度で48時間加熱した豚肩ロースは「赤身ふわふわ、筋しっとり」な絶妙な状態に仕上がります。ただ、密閉空間での長時間加熱に伴う"嫌な臭い"が出てきてしまうので、香り対策をしましょう。今回は、低温の湯ぶりと醤油みりんベースのタレで香り付けすることで対処しました。

Yields4 ServingsPrep Time20 minsCook Time2 days 2 mins

 500 g 豚肩ロース塊肉
タレ
 20 g 薄口醤油
 20 g みりん
 10 g 日本酒

1

塩分濃度1~3%、50~54度ほどのたっぷりのお湯に塊肉を20分泳がせる。臭みと余計なドリップを抜く。

2

肉を泳がせている間にタレを作る。ソースパンにタレの材料を全て入れ、アルコールが飛ぶ程度に弱く加熱する。アルコールが飛んだら、タレを肉を入れるポリ袋などに移す。

3

塊肉の臭み抜きが終わったら、肉をポリ袋に移してAnovaで53.3度48時間加熱する。

4

加熱終了後、20分間急冷する。(この後、冷蔵保存してもよい。)

5

急冷後、肉表面の水分を拭き取り、180度~200度のフライパンで各面30秒~1分ほどSearする。肉の水分が多いため焼き目はあまり付かない。香ばしいが立ってくればOK。

6

Seart終了後、バットなどに取り、粗熱が取れるのを待つ。

7

好みの大きさに切って頂く。

↓スライドで各工程後の塊肉の状態が見れます↓

Ingredients

 500 g 豚肩ロース塊肉
タレ
 20 g 薄口醤油
 20 g みりん
 10 g 日本酒

Directions

1

塩分濃度1~3%、50~54度ほどのたっぷりのお湯に塊肉を20分泳がせる。臭みと余計なドリップを抜く。

2

肉を泳がせている間にタレを作る。ソースパンにタレの材料を全て入れ、アルコールが飛ぶ程度に弱く加熱する。アルコールが飛んだら、タレを肉を入れるポリ袋などに移す。

3

塊肉の臭み抜きが終わったら、肉をポリ袋に移してAnovaで53.3度48時間加熱する。

4

加熱終了後、20分間急冷する。(この後、冷蔵保存してもよい。)

5

急冷後、肉表面の水分を拭き取り、180度~200度のフライパンで各面30秒~1分ほどSearする。肉の水分が多いため焼き目はあまり付かない。香ばしいが立ってくればOK。

6

Seart終了後、バットなどに取り、粗熱が取れるのを待つ。

7

好みの大きさに切って頂く。

豚肩ロースの53.3度低温調理チャーシュー

レシピの補足

レシピの中で「これ何のためにやってるの?」と疑問に思う人のためにいくつか補足を書いておきます。

Q1: 塊肉を低温のお湯に泳がせる工程スキップするとどうなるの?

仕上がり時にヘドロのようなドリップに覆われた状態になり、雑味と臭みが出ます。

長時間袋の中で密閉加熱されることで、この嫌な臭いは肉の内部にまで付くようです。その後のSearで表面に香り付けしても覆い隠せません。よって、この工程はスキップ不可。

Q2: タレの量は増減させてもOK?

OKです。Anovaで加熱しているうちに、肉汁でタレが薄まってくるので、タレを多くすれば強い味と香りが漬けられます。

ただ、タレ、特に醤油を多くすると結果的に高い塩分濃度の溶液に肉が長時間浸されることになるので、(タンパク質変性によって)肉表面の繊維が段々ボソボソしてくる、というデメリットもあります。

また、タレを増やすときは日本酒の量に注意を。アルコールを飛ばし切らないと、肉を冷蔵保存した場合などにアルコール臭さが出てきて、醤油とみりんの甘い香りを邪魔します。冷蔵しないなら問題ありません。

Q3: 加熱時間もう少し短くてもいけんじゃない?

42時間、45時間もテスト済です。このように時間を短くすると肉によっては筋が十分に柔らかくなりません。53.3度加熱の場合は48時間を推奨します。

どうしても加熱時間を短くしたければ、加熱温度を上げるしかありません。しかし、そうすると筋が柔らかくなる頃には、赤身はかなり水分を奪われてしまっています。このレシピと同様ものをこれ以上の加熱温度帯で再現することは難しいでしょう。膨大な数の加熱条件を試した結果選び抜かれたのが53.3度48時間なのですから。

Q4: Sear前に急冷するのは何で?

Searによる高温加熱を影響を、肉表面付近だけに留めるためです。詳しくは以下の記事をどうぞ。

sous vide 経験者の間では常識ですが、肉を入れた袋から空気を抜く方法なども紹介しています。

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おすすめツール

Nick が真空調理で使っている道具たちを一部紹介しておきます。

Anova

個人的にはこれ一択。そのうち記事で書きますが、Wi-Fi が圧倒的に便利。外出先にいながら火入れのコントロールが可能。加熱を複数温度に分けて行うなどの場合、外出先から出来ないと不便過ぎる。
最適な加熱条件が分かっているなら、帰宅が遅れた場合に出先から加熱温度を下げて火入れの進行を遅らせる技も使える。

あとは、温度コントロールが命の商品なので、実績あるAnovaが一番安心できるという側面も。安物買って気づかないうちに温度センサー壊れてた→食中毒…とかシャレにならない…。

ポリ袋

ワタナベ工業ポリ袋がいいと思います。ジップロックと比較して1枚あたり50%以上のコストダウンが図れます。ほぼA4サイズ。大きい肉も余裕で入る。


Nick はこの袋を400枚まとめ買いしてますが(既に1000枚は使った笑)、お試ししたい人向けに、40枚セットのリンクも一番下に貼っておきます。

ただ、ワタナベ工業ポリ袋にはジッパーがないので、密閉時にはクリップイットを。ポリ袋をクリップイットで留めるだけで簡単に密閉できます。袋の真ん中らへんなど、好きな位置で止められるので便利です。(一番汎用性が高いのは70mmのやつ)

また、クリップイットは-20~140度の温度耐性があり、湯煎にかけたり冷凍庫に放り込んだり酷使しても2年以上1つも壊れていません。かなり丈夫。

Nick はワタナベ工業ポリ袋 & クリップイットのコンビに非常に広い応用路を見出しており、真空調理 / 通常調理問わず、使わない日はまずありません。(追って記事書きます。)迷ったら買うべし。後悔させない自信ある。


2018/03/21時点: Amazon だと40枚セット販売、楽天だと40枚×2セット販売で少し割安となっています。(どちらも送料無料)


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