オーブンだけで作れる激甘焼き芋の作り方。私はこれを食べてからもう他所で焼き芋が食べられません。自宅での焼き芋クオリティが異常に上がります。

毎年100本以上焼き芋を自宅で焼くNick が、最近糖度計を手に入れたので、今まで実践していたレシピ1)Anovaを使ったものも含むを片っ端からテストしました。最も優秀だったものをその成果として紹介します。

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レシピ

さつまいもの品種はシルクスイート一択。紅はるかの場合、可食部が減ります(後述)。シルクスイートが手に入らない場合は、紅はるかをどうぞ。

  1. シルクスイートを下記方法で選び、保存する。
  2. さつまいもを洗い、水気を拭き取る。
  3. オーブンにバット用網とクッキングシートを敷き、その上にシルクスイートを置き、140℃で3時間加熱する。(ひっくり返さなくてよい)
  4. 焼きあがったらオーブンから出し、5分放置して完成。

補足

  • 保存期間が短い場合、糖度があまり上がらない(2017/12-2018/2の場合)。それでも30は超える。
  • クッキングシートを敷く理由は加熱中に溢れだしてくる蜜対策。
  • 140℃と3時間の理由は別記事参照。なお、オーブンの予熱はしてもしなくてもどっちでもよい。(以下掲載のオーブンデータ参照。)
  • 5分放置するのは、加熱で乾いて固くなった皮部分が柔らかくなるのを待つため。(たぶん、内側からの水蒸気で皮に水分が供給される)
  • 紅はるかの場合、加熱過程で皮およびその下がガサガサ・カチカチになって食べれなくなっちゃう。も美味しく食べたい人は絶対シルクスイート推奨。
Nick のオーブンSOB-VS10 を140℃に設定した場合の庫内温度の変化. 143℃で安定.

出来上がりはこんな感じ(↓)。表面にだけナイフを入れてみました。皮は柔らかいし、皮下の色付き具合も理想的。

縦半分に切ってみました。中心部分まで均一に仕上がっています。

では、頂きます。

………。

ねっとりーーー!!
柔らかーーーーい!!!
そして、めっちゃ甘い、鼻に抜ける香りも良い…これはあかん。

爽やかで上品な芋の香りがあるせいか、甘いのに全然重く感じない。。
「砂糖入れときました!甘いでしょ!」みたいな単調な甘さじゃなくて、時間とともに変化が感じられるもっと動きと膨らみのある甘さ。

加えて、繊維間ゼロ。極小メッシュに通した後に固めたんじゃないかと思うくらい。スプーンですくってみると確かに繊維らしき塊が取れるんだけど、いざ口に入れると柔らかすぎて感知不能。この柔らかさ・ねっとり具合が満足度をさらに引き上げてる。うむ、美味い!

欠点としては、柔らかすぎて持ちづらい。落としそう。苦笑
温かい間は持ってるだけで形が変わっちゃう。いやしかし、うむ、美味い!

そんなこんなで、家族は大興奮して食べておりました。
「もはやスイーツ」だそうです!

糖度の測定

さて、頭を冷やして糖度を測ります。皆さんはやらなくていいです。糖度40と言った手前、測定方法と結果を書き残しているだけです。興味なければスキップ可。なお、ここで計測する糖度は食品一般の計測に用いられる「Brix糖度」です。

使用する糖度計はATAGO MASTER 野菜。
サンプル採取して、校正した糖度計のプリズム面に果汁などを載せて数値を読み取るだけです。

さつまいものサンプル採取方法として、アタゴ社のHPには「皮を剥いてすりおろしてガーゼで絞って採取」と書いてありましたが、(当然ながら)焼き芋からのサンプル採取方法はありませんでした。

素直に「さつまいも」の場合の方法を取ると、せっかく作った焼き芋をガーゼに捧げることになってしまうので、以下のような方法で測ります。

  1. 焼き芋の中心部分から10g程度サンプリングして、同量の水を加えて、よく混ぜる。
  2. よく混ぜたものから染み出してきた液体をすくって糖度計のプリズムに載せる。
  3. (必要なら温度補正をかけ)読み取った値の2倍の値を焼き芋のBrix糖度とする。

サンプルを水と混ぜるとこんな感じ。染み出した水滴を捕まえます。

で、糖度がこう。2倍に薄めて21だから、原料は42!!!2)一般に野菜など色々な成分が含まれる場合は、必ずしも「糖度=甘さ」にはならないそう。でも甘さのベンチマークとしては糖度は一番重要な指標。

さつまいもの選び方

傷んでいるなど明らかな「ハズレ」を引かない限りは、焼き芋は品種と焼き方が全てです。あまり神経質になる必要はありませんが、いくつかコメントを。

形状: “細いっこいもの”よりボール状のもの

こう書いておいて無責任ですが、芋の細さで味が変わるかはテストしていません3)世間一般には丸っこい物の方が良いとされているがソースを確かめていない。。正確に言えば、(ラグビー)ボール状のものばかり使っていて、細っこい芋と丸い芋の比較をそもそもしたことがない。というわけで、私の実践例に合わせて、ひとまず丸いものを選んでください。笑

ちなみに、細かい形状、たとえば「ゴツゴツしてる/してない」とかで差はないと思っています(これは割りと試した)。そもそも、シルクスイートでゴツゴツしてるものって少ない気もしますけどね。

カットの有無: 上端・下端が大きくカットされているものは避ける

保存過程でカット面からカビが発生しやすい印象。また、焼きあがった際に、端から数センチにかけて黒く変色してしまったり、水分が抜けすぎてパサパサになってしまったりするものが多い。簡単に言えば、美味しく食べれる部分が通常の場合よりも減ります。

選べるならこういうの(↓)のを選びましょう。

保存方法

保存環境

保存温度は「12~14℃を死守」4)私がいつも買うシルクスイートの詰め合わせの袋にはこの温度で保存せよ、と書いてある、そして「湿度の高くない冷暗所」。これだけです。

10℃を切ると腐り始めます(嫌というほど経験済)。そして、一箇所でも痛むと芋全体から大幅に味が落ちます(嫌というほど経験済)。また、私は未経験ですが、18℃を超えると芽が出て栄養をそっちに持っていかれるようです([1])。

私の保存方法

上記条件を守れれば何でもいいんですが、参考までに(冬場の)私の方法を紹介します。

  • 芋を1つ1つ新聞紙でくるむ
  • くるんだ芋たちをまとめてさらに新聞紙でくるむ
  • ダンボールで密閉(3日に1回くらい開いて湿気を抜く)
  • これをリビングの真ん中で10日間保存(正直邪魔)

です。家の中で”いい温度”ゾーンを見つけましょう。たぶん、どの家でも寒い時期だとリビングにならざるを得ないのでは…??

なぜ「140℃」で「3時間」なのか

他記事に譲ります。ここで書くには重すぎます。要点だけ書くと、

  • 焼き芋を甘くする方法論 – 王道と妥協案の2つ
  • 加熱中の芋の中心温度のモニタリングデータ

が重要で、主に後者から「140℃」を導き、前者から「3時間」を導いています。

以下の記事で説明しています。


おまけ: 焼き芋の”旬”はいつ?

私の中では夏です。以下、「株式会社ポテトかいつか」のホームページから引用します。

秋に収穫されたときからゆっくりと糖化し始め、糖化が止まることはありません。さらに、水分が少しずつ抜けていき糖分が凝縮されていくのです。そのため秋冬のお芋より、春夏のお芋はとっても甘くなります。

毎年の経験則ですが、3月くらいから焼き芋の甘みが顕著に強まります。この記事を書いているのは3月上旬なので、まさにこれからが旬です!

ちなみに私の一番の好物は、ねっとり激甘に仕上げたシルクスイートを冷蔵庫でキンキンに冷やした焼き芋ようかん!!!! 沖縄でよく食べられているやつです。良かったらお試しください。

(なお、焼き芋をアルミホイルに包んで常温放置は絶対ダメです。ボツリヌス菌に殺られるリスクがあります。実例あり。)

寒いときに食べる熱々な焼き芋もいいですが、甘さの旬を迎える春以降の焼き芋もお見逃しなく!

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参考文献

[1]イモ類の貯蔵, 奈良県ホームページ


   [ + ]

1.Anovaを使ったものも含む
2.一般に野菜など色々な成分が含まれる場合は、必ずしも「糖度=甘さ」にはならないそう。でも甘さのベンチマークとしては糖度は一番重要な指標。
3.世間一般には丸っこい物の方が良いとされているがソースを確かめていない。
4.私がいつも買うシルクスイートの詰め合わせの袋にはこの温度で保存せよ、と書いてある
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