408gの鶏胸肉で、63℃×1時間湯煎する低温調理のレシピの安全性を評価します。温度のデータはこちらのものを使います。
食材の中心温度が水槽の温度と等しくなるまでにはかなりのラグがあります。Anovaで調理中の食材の中心温... 【Anova】鶏胸肉で作る鶏ハムの中心温度モニタリング4 - Theory is the best sauce. |
以下の記事の続編です。
中心温度をモニタリングした鶏胸肉のデータから殺菌レベルを算出して安全性評価を行います。7D、12Dなど... 【Anova】鶏ハムのサルモネラ殺菌レベル/食中毒リスク算出 - Theory is the best sauce. |
250g・2cmの鶏胸肉で、63℃×1時間湯煎する低温調理のレシピの安全性を評価します。温度のデータはこちら... 【Anova】鶏ハムのサルモネラ殺菌レベル/食中毒リスク算出2 - Theory is the best sauce. |
296gの鶏胸肉で、63℃×1時間湯煎する低温調理のレシピの安全性を評価します。温度のデータはこちらのもの... 【Anova】鶏ハムのサルモネラ殺菌レベル/食中毒リスク算出3 - Theory is the best sauce. |
なお、鶏ハムのカンピロバクター殺菌レベル算出の結果から、カンピロバクターについては考慮の対象外とします。D-値を比べてみればわかるように、サルモネラを殺菌できていれば、カンピロバクターも同等以上のレベルで殺菌できるからです。
殺菌レベルの算出にはD-値を使います。なにそれ?って方は以下の記事をどうぞ。
D-値の知識なしに低温調理を行うことは、毒キノコの知識なしにキノコ狩りに行くようなものです。あなた... 【Anova】D値: 真空調理/低温調理の食中毒予防のための知識 - Theory is the best sauce. |
細かい実験方法などは前回参照。モニタリング結果を再掲。
加熱開始
38分後に50℃
40分後に51℃
41分後に52℃
43分後に53℃
45分後に54℃
47分後に55℃
50分後に56℃
53分後に57℃
56分後に58℃
60分後に59℃
64分後に60℃
70分後に61℃
80分後に62℃
92分後に63℃
に到達。
サルモネラのページ記載のD-値、Z-値から各温度のD-値を計算すると…
(一部略)
55℃:43.8 (min)
56℃:28.9479621
57℃:19.13206644
58℃:11.46280898
59℃:11.07105913
60℃:7.317
61℃:4.835895861
62℃:3.196103472
63℃:1.802343794
となります。(前回使用したD-値と全く同じものを使用。)
前回同様に計算すると…
60分の加熱で0.9032182191D
82分の加熱で5.051666197D
86分の加熱で6.303190151D
89分の加熱で7.241833117D
92分の加熱で8.422428197D
99分の加熱で12.30625992D
とわかります。 1分単位で殺菌レベルのグラフを作るとこうなります。
サルモネラについては、60分時点で1Dを切ってしまいました。やはり、サイズが大きくなると中心部の殺菌はどんどん遅れますね。(350g, 3.5cm厚の鶏胸肉を使ったときは60分経過時点で2Dくらいでした。)
最低限の殺菌レベルである5Dに達するのは82分時点なので、同様のサイズの鶏胸肉を63度で加熱するときの最低加熱時間はバッファも込めて90分としたいところです。
次回は200gくらいの鶏胸肉で例のごとく温度モニタリング→殺菌強度計算をしてみて、200~400gまでの重量について50g刻みでデータを揃えたいと思います。