250g・2cmの鶏胸肉で、63℃×1時間湯煎する低温調理のレシピの安全性を評価します。温度のデータはこちらのものを使います。

前回(鶏ハムのサルモネラ殺菌レベル/食中毒リスク算出)は、350g・3.5cmの鶏胸肉を使いました。
今回は250g・2cmの鶏胸肉なので、それよりも小振りなものを使います。
なお、鶏ハムのカンピロバクター殺菌レベル算出の結果から、カンピロバクターについては考慮の対象外として、殺菌の対象として考えるのはサルモネラとします。

殺菌レベルの算出にはD-値を使います。なにそれ?って方は以下の記事をどうぞ。

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前回の復習

細かい実験方法などは前回参照。モニタリング結果を再掲。

加熱開始
18分後に50℃
19分後に51℃
20分後に52℃
22分後に53℃
23分後に54℃
24分後に55℃
26分後に56℃
27分後に57℃
29分後に58℃
31分後に59℃
34分後に60℃
37分後に61℃
41分後に62℃
49分後に63℃
に到達。

D-値の算出

サルモネラのページ記載のD-値、Z-値から各温度のD-値を計算すると…
(一部略)
55℃:43.8 (min)
56℃:28.9479621
57℃:19.13206644
58℃:11.46280898
59℃:11.07105913
60℃:7.317
61℃:4.835895861
62℃:3.196103472
63℃:1.802343794
となります。(前回使用したD-値と全く同じものを使用。)

殺菌レベルの算出

前回同様に計算すると…

49分の加熱で5.052445662D
51分の加熱で6.162111868D
53分の加熱で7.271778074D
62分の加熱で12.265276D

とわかります。 1分単位で殺菌レベルのグラフを作るとこうなります。

49分で中心温度が63℃まで上昇しくれているので、49分以降に素早く殺菌が進んでいます。

評価・結論

安全性評価

今回の形状の鶏胸肉の場合、63℃×1時間というレシピは安全でしょう。60分時点で12Dレベルの殺菌まで達成できているので、肉質などで多少の個体差・熱伝導の違いがあったとしても結果的に十分に高い殺菌レベルに達するはずです。

もし、12Dレベルの殺菌を確実にしたいなら10分のバッファを取って、70分程度の加熱をすればいいと思います。

前回との比較

63℃×1時間という同じ加熱パターンではありますが、結果的に達成される殺菌レベルの高低は、鶏肉の形状に強く依存するということがわかりました。
前回のように厚みのある鶏胸肉の場合は60分加熱完了時点で約2D、今回のように薄めであれば12Dと、差は歴然です。

厚みがある場合と、薄い場合それぞれの場合についてx℃t分の加熱で最低どの程度の殺菌が実現されるかを大まかに予測するためには、もっとサンプルを増やしていく必要があるでしょう。現時点では特定の危険域はわかりましたが、安全域の正確な位置はまだわかりません。当面のところは、加熱時間に多めのバッファを持たせるべきでしょう。

次回は、300gの鶏胸肉で同じレシピを検証してみようと思います。
今回および前回の中間的な結果が予測され、実際にそれが実現すれば、一連の実験全体の信頼性が高まりますが、さてどうなることやら。。。


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