豚やジビエの生食による感染が疑われるE型肝炎ウイルス(Hepatitis E virus, HEV)について、食中毒予防の観点から情報をまとめました。また、低温調理/真空調理をする人に向けて詳細な死滅温度も紹介します。

出典:国立感染症研究所, E型肝炎とは
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概要

E型肝炎ウイルスは急性肝炎を引き起こすウイルスで、発展途上国では主に水から、先進国では豚肉を介して感染すると考えられている。致死率は1~2%。ウイルスの摂取から発症までの潜伏期が長いため、正確な感染原因の特定が進んでおらず、また、効率的な培養方法が確立していないため、加熱処理のデータも不足気味である。

生育条件

HEVに感染した豚やイノシシ・シカなどのの肝臓・腸管で増殖する。食品中では繁殖しない。

D-値(7D-reduction)

HEVを効率的に培養する手段が確立していないため、詳しいD-値は執筆時点では不明。
[4]によれば、HEV(genotype 3)は、
56℃×30分では不活性化されない
70℃×10分で不活性
95℃×1分で不活性
と報告されている。

汚染経路

豚への初期感染の経路は不明だが、養豚場での水平・集団感染と推測されている。
国・農場によって豚からの検出率には幅はあるものの、国内豚からも検出される。
多くは生後3ヶ月ごろに感染し、出荷時期である6ヶ月頃にはウイルスを持たないことが大半であるが、数%の例外がある。そのうちの大半は肝臓にウイルスが存在する。

症状

3~8週間の潜伏の後に、発熱・吐き気・腹痛・黄疸・肝腫大などの症状が出る。通常、発症から1ヶ月で完治。致死率は1~2%。
妊婦は劇症化しやすく、致死率が20%に達することもある。

食中毒発生のメカニズム

詳しくは未解明。

最小発症菌数

不明。

食中毒予防策

・豚(レバー)の生食は控え、十分な加熱を行うこと。
・流行地(発展途上国)では、衛生的な水を選んで飲むこと。

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参考文献

[1]国立感染症研究所
[2]東京都福祉保健局
[3]リスクプロファイル「ブタ肉におけるE型肝炎ウイルス」. 食品安全委員会, 2012.
[4]Development and evaluation of an efficient cell-culture system for Hepatitis E virus. Tanaka T. Takahashi M. Kusano E. Okamoto H. Journal of General Virology 2007, vol. 88, no. 3, p. 903-911.


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