日本語文献で網羅的なリストがないように思ったので作りました。
代表的な食中毒細菌・寄生虫の生息環境・死滅温度(D-値)・予防方法などを記載した23の個別ページのまとめです。
リンク先から個別の詳細情報に飛べます。以下の記事を読んでおくと理解が進むと思います。
また、D-値について知らない人はこちらをどうぞ。死滅条件はD-値をベースに記載しているので知識がないとたぶん意味不明かと。
細菌
芽胞形成菌
通性嫌気性
通性嫌気性菌: 酸素あってもなくても増殖できる細菌たちのこと。
セレウス菌 – 土壌細菌。肉・野菜・牛乳・魚・米などに存在。
偏性嫌気性
偏性嫌気性菌: 増殖にあたって酸素を必要としない細菌で、大気濃度の酸素に暴露することで死滅するもの。ただし、芽胞を形成するものは、芽胞によって自身を守り、酸素下でも死滅しない。
ウェルシュ菌 – 動物の腸管、土壌、水中に存在。食肉に多い。
ボツリヌス菌 – 土壌に広く分布。
非芽胞形成菌
通性嫌気性
サルモネラ – 動物の腸管、自然界に広く分布。
リステリア・モノサイトゲネス – 自然界に広く分布。
黄色ブドウ球菌 – ヒトの皮膚、ヒトの周辺環境に広く分布。
腸管出血性大腸菌 – 動物の腸管に存在。
腸炎ビブリオ – 海水中に存在
エルシニア・エンテロコリチカ – 動物の腸管に存在し、冷蔵環境で繁殖可能。
微好気性
微好気性菌: 生存に酸素は必要なものの、大気濃度より低い3~15%の酸素下で増殖するもの。
カンピロバクター – 動物の腸管に存在。鶏以外にも牛・豚も保菌。
ウイルス
ノロウイルス – 牡蠣、アサリなどの二枚貝の内臓に蓄積される。
E型肝炎ウイルス(追加の詳細情報→HEV詳細データ) – シカ・イノシシ・クマなどのジビエの内臓や筋肉に存在。豚も感染源として疑われる。
寄生虫
アニサキス – 鮮魚の内臓や筋肉に存在。
条虫 – 主に豚や牛の筋肉に存在。日本海裂頭条虫、有鉤条虫、無鉤条虫、アジア条虫、マンソン裂頭条虫
ヒト回虫 – 汚染された土壌で育った野菜に付着。
トキソプラズマ – 哺乳類の筋肉、猫の糞便に存在。
旋毛虫(トリヒナ) – 肉食・雑食の動物の筋肉・小腸に存在。
住肉胞子虫(サルコシスティス) – 牛肉・豚肉の筋肉中に存在。
ブタ回虫(/犬回虫/猫回虫) – ブタの内臓・牛や鳥の筋肉部に存在。
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