トキソプラズマ(Toxoplasma gondii

豚肉や猫を介して感染するトキソプラズマについて感染経路や死滅条件などをまとめました。特に、妊娠予定(妊娠中)の女性はご注意ください。

出典: 国立感染症研究所, トキソプラズマ症とは
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概要

哺乳類全般に感染する寄生性の原生生物。感染しても多くは無症状だが、妊娠中の女性がトキソプラズマに初感染すると胎児に重大な悪影響を及ぼす。一度感染すると生涯にわたって保虫者となり、終生免疫を獲得する。感染動物の食肉摂取だけでなく、猫の糞便を介した感染も成立する。加熱によって死滅する。

寄生場所

哺乳類・鳥類の食肉部。また、感染したネコ科の動物の糞便内にも存在し得る。

感染経路

感染動物の食肉に存在するシスト(トキソプラズマがくるまっているコラーゲンカプセル)を加熱不十分なまま摂取することで、感染する。また、猫の糞便の接触した土・水を経口摂取することで感染する。

なお、感染した猫がオーシスト(トキソプラズマがくるまっているコラーゲンカプセル)を排出するのは、初感染の数日後からであり、排出期間は約2週間。排出されたオーシストが感染能力を得るのは少なくとも24時間の経過が必要。

症状

健常者の場合は多くは無症状。発症したとしても発熱・倦怠感・リンパ節腫脹などの一過性の症状に終る場合がほとんど。

妊婦への初感染の結果、トキソプラズマが胎盤を通過して胎児に感染した場合は症状が顕在しないケースもあるが、流死産もあり得る。胎内感染の場合、妊娠初期ほど重症化する傾向にある。

予防方法

・感染の可能性のある食肉を生食しないこと。
・猫の糞便は排泄後24時間以内に処理し、適切な加熱処理を行うこと。
・下記の加熱によって、シスト、またはオーシストの感染能力を不活性化させること。

[2]によれば、下記条件の加熱または冷凍で食肉虫のシストは死滅する。
・49度×336秒
・55度×44秒
・61度×6秒
・-9.4度の冷凍

[3]によれば、下記条件の加熱でオーシストは非活性化する。
・50度×30分
・55度×15分
・60度×15分
・70度×2分
・80度×1分
・90度×30秒

オーシストの非活性化条件についての情報は[4]が詳しい。

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参考文献

[1]国立感染症研究所
[2]National pork Board. Pork Safety Fact Sheet: Toxoplasma.
[3]Destructive effect of heating against Toxoplasma oocysts. Ito. S., Tsunoda. K., Taki. T. and Nishikawa. H. (1975b) :Natl. Inst. Animal Hleath Q., 15, 128-130.
[4]日本における寄生虫学の研究 第 6 巻 10.トキソプラズマ症(小林昭夫). 大鶴正満, 亀谷 了, 林 滋生 監修. 1999.


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