アニサキス(Anisakis)
魚の生食のリスクとなるアニサキスについて、食中毒予防の観点から情報をまとめました。また、低温調理/真空調理をする人に向けて詳細な死滅温度も紹介します。
スポンサーリンク概要
魚類などを中間宿主、海棲哺乳類を最終宿主とする寄生虫。ヒトには寄生せず、体内に侵入したとしても数日で排泄されるか死滅する。アニサキスによる食中毒は、実態解明が進んでいないが、多いもので年間約7000件との推定もある。
加熱や冷凍によって食中毒の原因となるアニサキスの幼虫は死滅する。
寄生場所
サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスなど中間宿主の内蔵に寄生するが、鮮度が落ちると筋肉中に移動する場合がある。
感染経路・症状
生きたアニサキス幼虫を経口摂取することで生じる。細菌による場合と異なり、摂取数1匹から発症する。
代表的な胃アニサキス症の場合、多くが8時間以内に、アニサキスの幼虫が胃や腸壁に侵入することに起因する腹部への激痛が起きる。
治療の特効薬は存在せず、胃アニキサス症の場合、開腹や内視鏡手術で幼虫を摘出するのが一般的。
予防方法
・60度×1分の加熱(参考情報あり[4])
・-20度×24時間の冷凍
・内臓の生食をしない
・鮮魚の内蔵を早期に除去する
・目視除去(アニサキス幼虫は体長1~3cm, 太さ1mm程度の白色半透明で目視可能)
逆に有効でない方法として
・よく噛む:アニサキスは強靭な虫体を持ち、通常の咀嚼では噛み切れない。
・薄く切る:切断できないリスクが高く、目視除去が推奨される。
・薬味効果:通常の濃度では効果はない。
[4]の加熱実験結果によると、アニサキス幼虫の生存上限環境は
45度×78分
50度×10秒
55度×10秒
60度×1秒
参考文献
[1]国立感染症研究所
[2]東京都福祉保健局
[3]wikipedia
[4]Experimental Anisakiasis: Cultivation and Tern perature Tolerance Determination. JEFFREY W. BIER.Journal of Milk and Food Technology: February 1976, Vol. 39, No. 2, pp. 132-137.