ノロウイルス(Norovirus)
ノーウォークウイルス(Norwalk virus)
食中毒の代表格であるノロウイルスについて、食中毒予防の観点から情報をまとめました。
スポンサーリンク概要
ヒトにのみ感染し、急性胃腸炎を引き起こす、2002年に新属として認定されたウイルス。正確には、ノロウイルス属ノーウォークウイルス種。主に貝類に蓄積されるものの、食品中では増加せず、ヒトの小腸内でのみ増加する。未解明な点が依然として多い。
生育条件
食品中では増殖しない。
確認されている限りでは、ヒトの腸管の上皮細胞のみで増殖する。
D-値(7D-reduction)
ノロウイルスの培養方法がまだ確立していないため、信頼できるデータなし。
2016年に[4]にて、画期的な培養方法が発表され、現在研究継続中と思われる。
60度×30分では感染力が失われないことが報告されている。
汚染経路
感染者の便や嘔吐物に含まれているノロウイルスが、下水道の浄水システムを通過して河川に流され、汚染された水域の貝類などにウイルスが蓄積される。
感染者の便や嘔吐物からの食品への二次汚染の場合も少なくない。
また、飛沫感染によってヒトからヒトへ直接感染するケースが指摘されている。
なお、乾燥した環境でも、4度で8週間、20度で4週間感染力を保つと報告されている。
症状
1~2日の潜伏期間の後、主に吐き気や発熱、激しい嘔吐・下痢を起こす。症状は通常24時間~48時間で消失するが、その後1~3週間(最長例は7週間超え)は便にウイルスが排出される。ノロウイルスに対するワクチンは2017年12月現在で存在しない。感染者のノロウイルスに対する免疫も1~2年で失われるとされる。
食中毒発生のメカニズム
十分に解明されておらず、詳しくは不明。
最小発症菌数
10~100
食中毒予防策
生鮮食品は十分に洗浄する
85度×1分以上の加熱
徹底的な二次汚染防止。以下、[2]より引用。
・感染者の便、おう吐物には接触しないようにし、接触した場合は十分な洗浄と消毒を行いましょう。
・おう吐物や、ふん便で汚れた衣類等を片付けるときは、ビニール手袋、マスクなどを用いましょう。
・おう吐物や、ふん便で汚れた衣類等は他の衣類とは分けて洗いましょう。
・おう吐物などを片付けた用具、雑巾類は、塩素系漂白剤でつけ置き洗いをしましょう。
・おう吐物などで汚れた床は、塩素系漂白剤を含ませた布で被い、しばらくそのまま放置して消毒しましょう。
・物の片づけが終わったら、よく手を洗い、うがいをしましょう。
参考文献
[1]国立感染症研究所
[2]東京都福祉保健局
[3]wikipedia
[4]Replication of human noroviruses in stem cell–derived human enteroids. Khalil Ettayebi, Sue E. Crawford, Kosuke Murakami, James R. Broughman1, Umesh Karandikar, Victoria R. Tenge, Frederick H. Neill, Sarah E. Blutt, Xi-Lei Zeng, Lin Qu, Baijun Kou, Antone R. Opekun, Douglas Burrin, David Y. Graham, Sasirekha Ramani, Robert L. Atmar, Mary K. Estes. Science, 353, 1387-1393(2016).