296gの鶏胸肉で、63℃×1時間湯煎する低温調理のレシピの安全性を評価します。温度のデータはこちらのものを使います。

以下の記事の続編です。


なお、鶏ハムのカンピロバクター殺菌レベル算出の結果から、カンピロバクターについては考慮の対象外とします。D-値を比べてみればわかるように、サルモネラを殺菌できていれば、カンピロバクターも同等以上のレベルで殺菌できるからです。

D-値ってなに?って方は以下の記事をどうぞ。

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復習

細かい実験方法などは前回参照。モニタリング結果を再掲。

加熱開始
20分後に50℃
22分後に51℃
23分後に52℃
24分後に53℃
26分後に54℃
28分後に55℃
30分後に56℃
32分後に57℃
35分後に58℃
39分後に59℃
42分後に60℃
47分後に61℃
55分後に62℃
62分後に63℃
に到達。

D-値の算出

サルモネラのページ記載のD-値、Z-値から各温度のD-値を計算すると…
(一部略)
55℃:43.8 (min)
56℃:28.9479621
57℃:19.13206644
58℃:11.46280898
59℃:11.07105913
60℃:7.317
61℃:4.835895861
62℃:3.196103472
63℃:1.802343794
となります。(前回使用したD-値と全く同じものを使用。)

殺菌レベルの算出

前回同様に計算すると…

60分の加熱で5.263115191D
63分の加熱で6.201758157D
66分の加熱で7.140401123D
69分の加熱で8.079044089D
77分の加熱で12.2757568D

とわかります。 1分単位で殺菌レベルのグラフを作るとこうなります。

評価・結論

安全性評価

今回の場合、60分加熱終了時点で5D水準にギリギリ駆け込み、ギリギリセーフでした。ギリギリというか見事にドンピシャですね。計算してみるとわかりますが、59分時点では5Dをわずかに下回っています。チキンレースとしては、これ以上ない完璧な勝利です。

しかし、5Dが達成されたタイミングがあまりにギリギリなので、大きな声で人に勧めたい加熱パターンではありません。同じ350gでもより分厚い肉を使えば、中心部分の殺菌には時間がかかるはずです。その個体差を考慮に入れれば、いくらかバッファを持たせ、70分くらいがこの大きさの肉・この温度での最低加熱時間ではかと思います。12Dレベルまで殺菌したければ、90分くらいでしょうか。

前回との比較

前回の結論をここでも維持します。つまり、
“63℃×1時間という同じ加熱パターンではありますが、結果的に達成される殺菌レベルの高低は、鶏肉の形状に強く依存する”
ということです。
今回の計算で、63℃×1時間というレシピの危険域は、”鶏胸肉350g・厚さ3.5cm”から”鶏胸肉300g”に広げられました。
しかも、幸か不幸か60分でちょうど5D水準に達したので、今回の形状の鶏胸肉が、当該レシピの危険域の境界にちょうど乗っているのではないかと思います。

あぁ、タイムマシンがあったら、この鶏胸肉の厚さを測りに戻りたい。。。


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おすすめツール

Nick が真空調理で使っている道具たちを一部紹介しておきます。

Anova

個人的にはこれ一択。そのうち記事で書きますが、Wi-Fi が圧倒的に便利。外出先にいながら火入れのコントロールが可能。加熱を複数温度に分けて行うなどの場合、外出先から出来ないと不便過ぎる。
最適な加熱条件が分かっているなら、帰宅が遅れた場合に出先から加熱温度を下げて火入れの進行を遅らせる技も使える。

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ポリ袋

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Nick はこの袋を400枚まとめ買いしてますが(既に1000枚は使った笑)、お試ししたい人向けに、40枚セットのリンクも一番下に貼っておきます。

ただ、ワタナベ工業ポリ袋にはジッパーがないので、密閉時にはクリップイットを。ポリ袋をクリップイットで留めるだけで簡単に密閉できます。袋の真ん中らへんなど、好きな位置で止められるので便利です。

また、クリップイットは-20~140度の温度耐性があり、湯煎にかけたり冷凍庫に放り込んだりしても2年以上1つも壊れていません。かなり丈夫です。

Nick はワタナベ工業ポリ袋 & クリップイットのコンビに非常に広い応用路を見出しており、真空調理 / 通常調理問わず、使わない日はまずありません。(追って記事書きます。)迷ったら買うべし。後悔させない自信ある。


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