本稿は、メディアなどでなにかと持ち上げられがちな低温調理・真空調理の実際を丸裸にする記事の後編になります。前編はこちら。

(前後編ともに元々はnoteに書いていた記事です。note版も貼っておきます)

本稿の構成としては、真空調理で湯煎加熱してから焼いたステーキがイマイチな理由などを分析した後に、真空調理の得意・不得意を整理して、その得意を活かせる料理を例示していく、というものです。

そこに書く調理法と料理の相性の善し悪しを理解することで、巷の真空調理レシピからアタリを見つけ出すスキルが格段に上がり、同時にハズレを引くリスクを減らせます。もちろん、自分でレシピを考える際の重要な基礎知識としても機能します。真空調理という技術に興味のある方、既に愛用している方、どちらでも大いに参考になる内容かと思います。

前編の内容を前提に書いていますので、読むなら前編から通しでどうぞ。

真空調理ステーキの厄介さ

真空調理ステーキの定義とその狙い

本稿において、真空調理ステーキは「湯煎加熱→両面焼き付け(sear)」と調理された板状の肉、とします。

肉の厚みが増してカット厚が厚くなると見た目の上でローストビーフとの区別が曖昧になってきますが、厚みが5cm以下で食べる際に1~2cm幅にカットするものを想像してください。こういうやつ(↓)。

さて、sear前にどうして湯煎加熱という前段階を挟むのか、という点を一応確認しておきましょう。

ステーキと言えば、典型的には両面をフライパンで焼くだけのシンプルな料理。しかし、あの方法で表面に綺麗な焼き色を付けつつ(ミディアム)レアに仕上げるのは決して簡単ではありません。

焼き色を付けること自体は簡単なのですが、肉内部の状態まで両立させるとなると、フライパンでの加熱温度、肉の初期温度、肉の厚み(や水分量)などを計算に入れ、ソテー中の(あるいはソテーした)肉の表面の高熱が内部に伝わっていくスピードを感覚的に覚える必要があります。

肉の厚みによっては肉を休ませる時間やタイミングも調整が必要ですし、肉を触った感触から火の入り具合をチェックしたり、経験を要する作業のオンパレードです。

特にステーキは、加熱温度が高い(そうしないと綺麗な焼き色が付かない)割にローストビーフなどと比べて肉のサイズが小さいため、加熱の’止め時’を逃すとあっという間に過加熱状態になってパサパサの肉が出来上がります。

湯煎加熱の意図は、先に内部まで低温で火を通した上で後から焼き付けを行うという風に、本来1つである工程(の作用と副作用)を意識的に2つに分解し、前半を「肉の厚み×温度×時間」という変数を通してお手軽にコントロールするところにあります。そうすれば、経験を要する作業を経ずとも、仕上げに(内部まであまり熱が伝わらないよう手短に)表面をガンガン焼くだけでピンク色の断面のステーキができるだろう、という発想です。

これが真空調理ステーキの基本的な考え方ですが、いくつか厄介な点があります。

真空調理ステーキの厄介な部分

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