カンピロバクター(Campylobacter)
実は鶏肉だけでなく、牛や豚も保菌するカンピロバクター。食中毒予防の観点から情報をまとめました。また、低温調理/真空調理をする人に向けて詳細な死滅温度(D-値)も紹介します。
スポンサーリンク概要
カンピロバクター食中毒の原因菌の95~99%はCampylobacter jejuni subsp. jejunによる。ここではカンピロバクターとして同菌を指すものとする。
微好気性の細菌で、主に牛・豚・羊・鶏・犬・猫・鳩などの消化器官に常在菌として存在する。2006年EU/EFSAの報告によれば、鶏肉の80%がカンピロバクターに汚染されている。
潜伏期間が長い。少量の摂取で発症する。加熱により殺菌可能。
増殖温度
発育温度:30~45度
生育最低水分活性:0.987
ph:4.6~9
塩分濃度上限:1.7%
D-値(7D-reduction)
鶏挽肉(Campylobacter jejuni)
49度:21分(2時間27分)
51度:9分(63分)
53度:5分(35分)
55度:128秒(15分)
57度:48秒(5分40秒)
Z-値:5.91度
D-値が初耳の人はこちらをどうぞ。
汚染経路
と殺時に食肉部が汚染される。(この時点での汚染を防ぐことはコスト的に困難。)ペットからの感染例も報告されている。
症状
2~5日の潜伏期間を経て、下痢、腹痛、発熱、悪心、 嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などをもたらす。
発熱時の平均体温は38.3度。
食中毒発生のメカニズム
詳細不明。
菌が体内に入ってから増殖して発症すると考えられている。
最小発症菌数
100個程度。これは、一般の食中毒菌と比べて極めて少ない量。
食中毒予防策
熱に弱いため、十分な加熱による殺菌を行う。
スポンサーリンク参考文献
[1]国立感染症研究所
[2]東京都福祉保健局
[3]wikipedia
[4]Campylobacter jejuni survival in chicken meat as a function of temperature. L.C. Blankenship, S.E Craven. Appl Environ Microbiol. 1982 Jul; 44(1):88-92.
[5]Hazard Analysis and Risk-Based Preventive Controls for Human Food: Draft Guidance for Industry. U.S. Department of Health and Human Services
Food and Drug Administration Center for Food Safety and Applied Nutrition, 2016.