2016年からAnovaを自宅で愛用するNickが、ホームシェフ目線で感じる真空調理のメリット・デメリットをまとめました。

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真空調理とは

wikipedia の真空調理のページから重要なところだけ抜き出しますと、真空調理とは…

「焼く」「蒸す」「煮る」に次ぐ、第4の調理法と呼ばれる調理法。
真空パックなどで脱気・密閉した食材をスチームコンベクションオーブンや湯煎器で、加熱温度と時間を厳密にコントロールしながら行う調理方法のことをいう。

(1点補足:業務用ではスチームコンベクションオーブン、家庭ではanovaなどの湯煎器が用いられることが多い。)
この説明だけでは、具体的なイメージが持てないかと思いますので、youtubeのレビュー動画をご覧ください。
真空調理機Anovaのレビュー動画

真空調理がどんなものか、なんとなーく分かったところで、「この真空調理の何が嬉しいの?」という疑問に(業務視点ではなく)家庭向けの観点からお答えしましょう。

真空調理のメリット

1.低温加熱効果

たとえば、低温(54~64度)で肉を一定時間加熱すると、フライパンなどでは再現困難なほどジューシーで柔らかく仕上がります。

真空調理は、この低温加熱を行うのに適した調理方法であり、多少の知識をインプットすれば、お肉のジューシーさを今までと比較にならないほど自由に操ることができるようになります。

わかりやすい例をあげれば、柔らかいレアステーキ、中心がピンクのローストビーフなどが簡単・安価に自宅で作れるようになります。

2.袋を使うことによる密閉効果

真空調理では食材を袋に密閉した状態で調理します。そのため、「焼く」「煮る」などその他の調理方法に比べて、旨味や風味・栄養素・ビタミンなどが煮汁や油へと流出しづらく、食材に留めることができます。特に、煮込み料理などで顕著な違いが感じられます。

また、少ない調味液でも食材全体に味を行き渡らせることができ、料理の原価を下げることができます。

3.(酸化・)二次汚染リスクの低下

袋内部の食材は(当然ながら)袋によって外部の細菌が侵入しづらい状態になっているため、調理完了後の扱いを間違えなければ、食中毒のリスクが通常調理に比べて低くなります。つまり、調理したものの保存性が高まります。

4.火入れの均質化

加熱温度・時間を食材に合わせて適切にコントロールすることで、火の入り方にムラが出ずに均質に仕上がります。たとえば、大きな塊肉を調理する際でも、中心部分と表面から深さ1cmの部分で全く同じ色・食感に仕上がります。

5.レシピの定量化・脱属人化

調理において、火入れの領域は経験と勘が幅を利かせている領域ですが、真空調理では、その火入れを加熱温度×時間という形で完全に定量化できます。

そのため、極めて再現性の高いレシピを書くことができます。真空調理を導入することで、料理の仕上がりの出来・不出来の振れ幅が小さくなり、安定して美味しい料理を食卓に並べることができます。

6.調理作業の効率化

真空調理と他の調理は同時並行で進められます。真空調理の加熱工程は、anovaなどの専用機器に完全・安全に任せることができるため、加熱の間は他の品目の調理に時間を割くことができるためです。外出だってできます。

また、複数の真空調理自体も同時進行可能です。

たとえば、63度という温度であれば、鶏胸肉の加熱と温泉卵の調理が同時に可能ですし、56度であれば、後日食べるローストビーフと今晩のメインディッシュのラムチョップの加熱、それと冷蔵保存しておいた温泉卵の温め直しが同時に可能です。

各食材は袋で密閉され、他の食材から遮断されているため、加熱温度さえ共通であれば複数の真空調理を容易に同時に行うことができます。結果的に、調理の効率が大幅に上がります。

真空調理のデメリット

1.加熱時間が長い

加熱温度が他の調理方法と比較して低いため、食材全体を加熱し切るまでに時間がかかります。実際の加熱時間は、食材の厚さ・表面積にもよりますが、加熱工程が30分以内に完了するレシピはかなり限られます。

実際、1時間以上の加熱を要するレシピが大半です。準備ゼロから急いで食事の準備をする必要がある時には、真空調理には頼らない方がよいでしょう。

誤解がないように念のため強調しておきますが、真空調理では、加熱を機械に任せることができるため、人間が調理に拘束される時間は決して長くはありません。10分の下処理、1時間の加熱というレシピの場合、人間が拘束されるのは下処理の10分だけです。

2.衛生管理の知識が必要

低温調理のメリットばかりが強調され、衛生面のリスクに言及されないことが多いですが、この点はとても大切です。

真空調理は、加熱温度が他の調理方法と比較して低いため、食中毒を引き起こす細菌を殺菌する速度も他の調理方法に比べて遅くなります。あるいは、そもそも殺菌に適さない温度を選んでしまうかもしれません。そのため、リスクの高い調理方法を(意図せず)選んでしまっていないか、自分で判断する必要があります。

たとえば、鶏肉(脂質12%)を調理する場合、全体を(フライパンなどではすぐに到達する)74度に加熱すれば、サルモネラ菌やカンピロバクターは瞬間殺菌され、通常摂取しても問題ないレベルまで鶏肉を減菌できますが、(真空調理でよくあるように)全体を60度に加熱した場合では、安全な水準まで減菌するのに60度を35分保つ必要があります([1])。

では、54度の場合はどれくらいの時間が必要でしょうか?
58度だったら?
65度だったら?

この例から分かるように、真空調理の安全性を判断するには、一定の知識が必要です。そのような知識ない場合、真空調理は、他の調理方法と比べて、食中毒のリスクが高い調理法ということは絶対に理解しておくべきです。

すでに十分検証された信頼できるレシピに従うのであれば、加熱温度×時間はそのレシピ通りに行って問題ありません。しかし、自分で別の加熱パターンを考案して実験する時や、ネット上の個人(たとえば私)のレシピを試す場合は、自分自身でそのレシピに食中毒のリスクがないか判断するための知識が必要です。1)炊飯器での低温調理レシピをはじめ、ネット上のレシピは怪しげなものが多くあります。

3.真空調理専用機器がやや高価

先駆的代表機であるanovaは、約150ドルです。(2017/12現在)
より安価な後発機が続々と登場しているようなので、今後の価格低下は見込めるかと思いますが、使いこなせれば十分すぎるほど元が取れる素晴らしい調理器具だと実感しています。

ちなみに、筆者は2016年にAmazon.comから込み込み200ドルほどでanovaを購入しました。しかし、現在の150ドルくらいまで値下がりするのを待てば良かった、などという後悔は全くありません。

以上が、私がホームシェフ目線で感じる、真空調理の主要なメリット・デメリットです。
この記事をきっかけに真空調理に興味を持たれる方がいればとても嬉しいです。

参考

[1]Cooking for Geeks: Real Science, Great Cooks, and Good Food. 2nd edition. Jeff Potter. O’Reilly Media, 2015.
[2]真空調理ドットコム

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おすすめツール

Nick が真空調理で使っている道具たちを一部紹介しておきます。

Anova

個人的にはこれ一択。そのうち記事で書きますが、Wi-Fi が圧倒的に便利。外出先にいながら火入れのコントロールが可能。加熱を複数温度に分けて行うなどの場合、外出先から出来ないと不便過ぎる。
最適な加熱条件が分かっているなら、帰宅が遅れた場合に出先から加熱温度を下げて火入れの進行を遅らせる技も使える。

あとは、温度コントロールが命の商品なので、実績あるAnovaが一番安心できるという側面も。安物買って気づかないうちに温度センサー壊れてた→食中毒…とかシャレにならない…。

ポリ袋

ワタナベ工業ポリ袋がいいと思います。ジップロックと比較して1枚あたり50%以上のコストダウンが図れます。野菜500gだって余裕で入る。


Nick はこの袋を400枚まとめ買いしてますが(既に1000枚は使った笑)、お試ししたい人向けに、40枚セットのリンクも一番下に貼っておきます。

ただ、ワタナベ工業ポリ袋にはジッパーがないので、密閉時にはクリップイットを。ポリ袋をクリップイットで留めるだけで簡単に密閉できます。袋の真ん中らへんなど、好きな位置で止められるので便利です。

また、クリップイットは-20~140度の温度耐性があり、湯煎にかけたり冷凍庫に放り込んだりしても2年以上1つも壊れていません。かなり丈夫です。

Nick はワタナベ工業ポリ袋 & クリップイットのコンビに非常に広い応用路を見出しており、真空調理 / 通常調理問わず、使わない日はまずありません。(追って記事書きます。)迷ったら買うべし。後悔させない自信ある。


2018/03/21時点: Amazon だと40枚セット販売、楽天だと40枚×2セット販売で少し割安となっています。(どちらも送料無料)


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1.炊飯器での低温調理レシピをはじめ、ネット上のレシピは怪しげなものが多くあります。
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