牛肉の安全な低温調理に必要な最低加熱時間を、加熱温度(52.3-66度)・厚み(5-65mm)別に算出しました。

本記事は、以下の記事の牛肉バージョンです。

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最低加熱時間

鶏肉版と同様、以下表中の値は「この時間以下だと危険」という意味ではなく、「この時間以上なら(下記リスク要因を十分殺菌できているという意味で)安全という」という意味と考えてください。なお、殺菌レベルは初期量に対して7Dです。

詳しい表の使い方は記事の最後に回すとして、数字一覧を掲載します。

サルコシスティスを含めた場合

リステリア・モノサイトゲネスを中心的な標的菌に置きつつ、サルコシスティスの方がリステリア・モノサイトゲネスよりもしぶとい温度帯では、サルコシスティスを標的に置き直して必要な加熱時間を計算しています。

beeef criterion523-66LS

サルコシスティスを含めない場合

サルコシスティスを無視したバージョン。サルコシスティス以外のリスク要因のうち最も耐熱性が高いリステリア・モノサイトゲネスをベンチマークに必要な加熱時間を計算した場合です。

beeef criterion523-66L

最低加熱時間の算出方法

概要

鶏肉版と同様です。スキップ可。

牛肉に存在すると考えられる細菌・寄生虫類の洗い出し
→加熱時間ごとに細菌を7D-ruduction、寄生虫を全滅させるために必要な最低保持時間\(T_1\)を計算
→食材全体が加熱温度に達するまでの時間(到達時間)\(T_2\)の推定値を\(T_1\)に追加

といった手順に従って加熱時間を算出しています。\(T_2\)の推定値にやや幅があるため、上に掲載した最低加熱時間も同じ分だけ幅を持ちます。
この最低加熱時間の算出方法は、以下記事で説明した手順に従っています。詳しくはこちらをどうぞ。(以下記事内で詳しく書いたことは、この記事では荒めにあっさり書いてます。)

リスク要因の洗い出し

牛肉のリスク要因は以下の通りです(主に[1]の食肉の危害となりうる病原体リストから抽出)。

ウェルシュ菌、ボツリヌス菌などの芽胞性細菌の芽胞は60度台の加熱では破壊できませんが、繁殖を止めた上で、その(増殖型)栄養細胞を倒しておけば通常問題にはなりません。ここではこのような対処にとどめ、芽胞の破壊は目指しません。以下では芽胞を除いて考えます。

最低保持時間\(T_1\)の算出

洗い出したリスク要因のうち、耐熱性の最も高いものはリステリア・モノサイトゲネス/サルコシスティスなので、これらを十分に殺菌できる加熱時間を考えます。

なお、”しぶとい”の判断は、各温度帯におけるD-値を比較して行っています。1)寄生虫については、その死滅温度を見ています。

リスク要因の死滅温度やD-値は、こちらのページから確認できます。

この記事では、7Dレベルの殺菌を行うことにしているので、加熱温度が\(c\)のときの最低保持時間(分)は\( D_{c} \times 7\)で計算できます。

たとえば、60度の加熱温度でリステリア・モノサイトゲネスに対して7Dレベルの殺菌を行う場合は、\( D_{60} = 7.12\)なので、最低保持時間は\(7.31.7 \times 7 = 49.84\)分になります。

到達時間\(T_2\)の算出

以下の記事に食材の厚さごとの到達時間の推定値一覧があるので、そちらに譲ります。

各加熱温度において\(T_1\)を計算し、食材の厚みごとに\(T_2\)を推定し、\(T_1 + T_2\)をした値が冒頭の表中の最低加熱時間、という訳です。

補足

マンソン裂頭条虫・無鉤条虫・ブタ回虫・サルコシスティスの死滅条件は断片的にしか知られていません。データの欠落部分をどのように埋めているかについては、以下の記事で解説しているので、必ず確認しておいてください。

特に、サルコシスティスのリスクについては、国・地域によって考慮すべきかどうかは変わると思うので、地域の実情に合わせて冒頭の2つの数表は使い分けてください。ちなみに、サルコシスティスのページにあるように、日本では牛肉は汚染されている可能性が示唆されています。

冒頭の表の値を盲信することなく、背後にある理屈を理解した上で、納得のいく使用方法をとっていただければと思います。

参考文献

[1]危害要因の性質等について(食中毒・汚染率等)

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おすすめツール

Nick が真空調理で使っている道具たちを一部紹介しておきます。

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個人的にはこれ一択。そのうち記事で書きますが、Wi-Fi が圧倒的に便利。外出先にいながら火入れのコントロールが可能。加熱を複数温度に分けて行うなどの場合、外出先から出来ないと不便過ぎる。
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ポリ袋

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   [ + ]

1.寄生虫については、その死滅温度を見ています。
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